研究テーマ


越智・松村研究室では・・・

 原子力プラントや航空機を始めとする機械・構造物において疲労に起因した事故や故障は現在も多数発生しています。そのため材料の疲労と破壊の研究は、必要不可欠となっています。そこで本研究室では、材料の強度設計・材料開発に関連した材料評価、特に疲労と破壊強度評価に関する研究を行っています。
 また、数多くの企業や学会との共同研究を通じて活発に研究活動を行っています。

 

本研究室では下記のような研究を行っています。

1.金属材料の長寿命疲労,疲労強度信頼性向上に関して
  SP処理球状黒鉛鋳鉄の超長寿命域疲労特性
  高強度鋼の超高サイクル疲労特性
  マグネシウム合金の疲労強度特性に及ぼすアルミナ短繊維体積含有率の影響
  SUS316L鋼の高サイクル疲労特性に及ぼすLP処理の影響
  鋳造アルミニウム合金の疲労特性に及ぼす微視組織および鋳造欠陥の影響
2.マイクロテスティング
  マイクロテスティングによる微小材料の機械的特性評価
  SUS304極薄板材の疲労強度特性に及ぼす結晶粒径と試験片形状の影響
3.フレッティング疲労
  Ni-Cr-Mo鋼における接触端部形状のフレッティング疲労強度に及ぼす影響
4.セラミックス強度
  小球衝突損傷によるセラミックスの表面損傷及び強度低下に関する研究
  窒化珪素軸受の転がり疲労強度に関する研究
5.形状記憶合金の疲労特性 (電力中央研究所
  Ti-Ni形状記憶合金コイルばねの繰返し機能劣化特性
6.CMC強度試験 (航空宇宙技術研究所
  SiC/SiC系セラミックス基複合材料の高温クリープ挙動の研究  
  SiC/SiC複合材料の疲労強度特性
7.積層材の疲労特性
  金属/繊維強化樹脂積層材の疲労き裂進展特性

 

 

1.金属材料の長寿命疲労,疲労強度信頼性向上に関して

SP処理球状黒鉛鋳鉄の超長寿命域疲労特性

 球状黒鉛鋳鉄(DI材)は,鋼に比べ軽く,比較的強度が強い.また,鋳造性がよく複雑な形状の成形が可能なため部材の薄肉化が容易である.さらに油膜保持性,切削性,減衰性などが良いため,輸送機器材料に多用されている.

 このDI材のさらなる疲労強度向上を目指して,表面改質処理が用いられている.しかしながら表面改質材では,超長疲労寿命域において複雑な破壊形態を示す.この破壊形態,破壊メカニズムの解明が研究の主なテーマである.  

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高強度鋼の超高サイクル疲労特性

本研究は機械・構造物の延命化を目的とした構造用特殊鋼SNCM439SCM435および高炭素クロム軸受鋼SUJ2の超長寿命疲労特性に関する研究である.構造用特殊鋼は,機械工業を支える主要構造材料の1つでその用途は産業機械関係や自動車,車両舶用機器,航空機関係,そして電力原子力関係等と多岐にわたる.中でも超強靱鋼として知られるSNCM439は,航空機の離着陸装置(landing gear)やロケットのモーターケース(ボディ)等に用いられており,SCM435は圧力容器用鋼として,石油精製,石油化学工業に広く採用されている.また軸受鋼であるSUJ2は,工作機械の主軸やモータ等に用いられている.

このように本供試材である高強度鋼は,何れも機械の重要な部分に使用されている為,長期的な信頼性の確保が必要不可欠となっている.

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アルミナ短繊維強化マグネシウム合金の疲労強度特性におよぼすアルミナ短繊維含有率の影響
 繊維や粒子などで強化した金属基複合材料 MMC(Metal Matrix Composites) は,室温から高温いおいて,強くて軽い特性を有するので,原動機などの慣性力や摩擦力を低減する軽量化材料として,また航空機や飛翔体の構造用材料として,その役割を果たすことが期待されている.

 本研究では,アルミナ短繊維強化マグネシウム合金基MMC材を用いて,回転曲げ疲労試験を行い,強化短繊維の含有率の疲労特性に及ぼす影響を検討する.

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SUS316L鋼の高サイクル疲労特性に及ぼすLP処理の影響
 既存の原子炉は古い物で建設から約30年も経過しているものがある.このような高経年化プラントが増加しつつあるのが現状であり,高経年化により原子炉内圧力容器や炉心構造物などの材料劣化に備えた対策が重要となっている.

 そこで,本研究では主に原子炉に使用されているオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lを用いて,材料劣化対策として用いられている表面改質処理の一つであるレーザピーニング(LP)処理を試験片に施し高サイクル疲労試験を行い疲労強度へ及ぼすLP処理の影響を検討する.

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鋳造アルミニウム合金の疲労特性に及ぼす微視組織および鋳造欠陥の影響
 近年,特に自動車業界において車両の軽量化が排気ガスの排出量の規制問題の対策として大きく貢献していることから,各種部材へのアルミニウム合金の適用がさかんに試みられている.

 本研究では鋳造アルミニウム合金に鋳造欠陥を減少させる効果が期待される溶湯処理を施し疲労試験を行い,鋳造アルミニウム合金を使用する上で重要なデータとなると考えられる組織形状や鋳造欠陥が疲労特性に与える影響について検討を行う.

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2.マイクロテスティング

マイクロテスティングによる微小材料の機械的特性評価
 マイクロマシン研究,電子機器の軽薄短小化が進むに伴い,厚さや直径がミクロンオーダーの材料,すなわちマイクロマテリアルの需要が高まっています.そこで,より安全な設計を行うための第一歩として,マイクロマテリアルの機械的性質(ヤング率,伸びなど)を把握することが挙げられますが,それらを評価するための試験方法が規格化されていないため,マイクロマテリアルの機械的性質値は明らかにされていません.

 よって本研究では,JIS等へ反映できる試験方法確立を目指し,マイクロマテリアルの引張試験を行い,加工方法や形状寸法の違いが機械的特性にどのような影響を及ぼすか評価します.

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SUS304極薄板材の疲労強度特性に及ぼす結晶粒径と試験片形状の影響  
 マイクロマシンの研究や電子機器の小型化・軽量化においてマイクロマテリアル需要が増えるとともにその材料特性評価(マイクロテスティング)が注目されています.信頼性のあるマイクロシステムを開発するためにはマイクロマテリアルの疲労特性を把握することが必要ですが,寸法が非常に小さいために取り扱いや試験を行うことが難しいのが現状です.

 本研究では厚さがミクロンオーダーの板材試験片を用いて疲労試験を行い,疲労特性の評価を行います.

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3.フレッティング疲労

Ni-Cr-Mo鋼における接触端部形状のフレッティング疲労強度に及ぼす影響
フレッティングとは?

複数の物体がある面圧の下で接触している場合に,摩擦力を伴った微小な相対すべりが起こる現象をフレッティングといいます.そして、フレッティングを伴う部位での疲労現象をフレッティング疲労といいます。

フレッティングが発生すると・・・

 フレッティングにより磨耗した部分からき裂が進展し,フレッティングを伴わない通常の疲労よりも著しく低い応力で疲労限度に至ってしまいます.だから、設計の段階では予期しなかった重大な事故や故障・不具合につながるおそれがあるのです.

 本研究ではNi-Cr-Mo鋼を用い,様々な力学的因子がフレッティング疲労に及ぼす影響を,実験的・解析的に解明します.

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4.セラミックス強度

小球衝突損傷によるセラミックスの表面損傷及び強度低下に関する研究
 セラミックスは耐食性,化学的安定性,電気絶縁性,耐摩耗性並びに耐熱性に優れていることから,ガスタービン,自動車エンジン並びに蒸気プラントへの適用が検討されており,現在は自動車のターボチャージャ・ロータへの適用例がある.これらの構造部材へのセラミックスの適用を考えた場合,燃焼ガス中に含まれる不燃性物質などの微細粒子の衝突により発生する損傷の問題が考えられる.この衝突損傷について調査する手段として,微細粒子を小球でモデル化した小球衝突試験が行われている.

本研究では衝突損傷の発生メカニズムや強度低下について検討している.

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窒化珪素軸受の転がり疲労強度に関する研究

近年,産業の発展に伴って機械の高速化,高精度化が求められるようになり,これまでの軸受鋼と比較して高強度,高剛性であり耐食性や耐摩耗性に優れるセラミックスを軸受材に適用したセラミックス軸受が,今日工作機械やハードディスクなどに実用化されている.

 本研究では,軸受の寿命を決定する転がり疲労(剥離)の発生メカニズムを解明することを目的とし,レースと球に窒化珪素を用いた転がり疲労試験を行い,窒化珪素レースの寿命評価を行うと共に剥離発生過程及び剥離形状について詳細な観察を行っている.

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5.形状記憶合金の疲労特性 (電力中央研究所

Ti-Ni形状記憶合金コイルばねの繰返し機能劣化特性
 形状記憶合金とは大きく形を変えても,暖めると元の形に戻るという不思議な金属のことです.身近なものだと,携帯電話のアンテナやメガネのフレームなどにもこの金属の性質は使われています.しかし,この性質も繰返し使っていると薄れてきて,いつかは壊れてしまいます.

 そこでこの研究では,繰返し使用と共にどの程度形状記憶合金の性質が変化するか,またどれくらいの使用で壊れるかを調べています.見た目も実験もとてもおもしろい研究です.

 ちなみにこの研究は企業との共同研究で,そこに来ている色々な大学の人たちとも仲良くなれます.

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6.CMC強度試験 (航空宇宙技術研究所

SiC/SiC系セラミックス基複合材料の高温クリープ挙動の研究

   SiC/SiC系セラミックス基複合材料は高温下での高強度・高信頼性を持つことから超耐熱材料及び核融合炉材料としての期待が持たれ,作製されている.これらの材料には超高温下で一定の力が長時間かかることが予想されるので,本研究は実際に1300℃以上の高温下での一定荷重試験(クリープ試験)を行い,SiC/SiC系セラミックス基複合材料がどのように変形または損傷するのかを調べている.

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SiC/SiC複合材料の疲労強度特性
  SiC/SiC複合材料は, 将来型宇宙往還機HOPE-Xへの適用が検討されている非常に特殊な材料で軽く, 強い上に耐酸化性, 耐熱性も優れるという材料であります. 複合材料は一般に“設計できる材料”と言われ, 目的に応じた形状, 強度を解析で計算することが出来ます. セラミックス系の複合材料は最近, その性質が知られるようになり研究が行われるようになった新しい分野の研究です. 研究は大学ではなく外部機関で行っています.

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7.積層材の疲労特性

金属/繊維強化樹脂積層材の疲労き裂進展特性
 航空機胴体構造に代表される薄板構造において損傷許容性向上を意図して金属に樹脂系複合材料を張り合わせたハイブリッド積層材料が従来から開発されてきた.個々の材料特性を生かし,軽量であることに加え耐食性,耐損傷性を併せ持つ材料であることから航空機構造材料への実用化が進められつつある.

しかし異種材料を張り合わせた積層材料は単一材料に比べて特異な応力依存性が認められるなど複雑な挙動を示す.特に疲労き裂進展特性に関して線形破壊力学では整理することが出来ず,これまでにも様々な整理方法が提案されてきたがいずれも簡便であるとは言えない.

 本研究では,ハイブリッド積層材を対象として疲労き裂進展試験を実施し,異種材料界面の層間剥離に相関に着目することで破壊に至るまでの機構を明らかにすることを一つの目標としている.

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